絵本「ヤクーバとライオン」その②
ヤクーバーとライオンの目が合って、ライオンの目は語りかけてくる。
「見てのとおり、わしは傷ついている。夜どおし手強い相手と闘って力も
つきはてた。おまえはわしをとるのは、たやすいことだろう」
「おまえには二つの道がある。
わしを殺せば立派な男になったと言われるだろう。
それは、ほんとうの名誉なのか。もう一つの道は、殺さないことだ。そうすれば
おまえはほんとうに気高い心を持った人間になれる。だが、その時は、仲間はず
れにされるだろう。
どたらの道を選ぶか、それはおまえが考えることだ。
夜があけるまでには時間がある。」・・・・・・
仲間の少年たちはみんな、名誉ある戦士になった。しかし、ヤクーバに与えら
た仕事は、村のはずれで牛の世話をすることだ。
たぶん、そのことがあったからだろう。
村の牛たちは二度とライオンに襲われる
ことはなかった。・・・・・・・・
この絵本のメッセージを日本の
大人たちにも子どもたちにも伝えたいと思った。
・・・・・・2008年春 柳田邦男のあとがきより抜粋・・・・・・・
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